「お盆はご先祖と○○に感謝する機会!」
8月は大きな行事として、ご先祖様をお迎えする大切な仏事「お盆」があります。一般的に「お盆」は7月12日~15日までとされますが、地方では旧暦や、8月12日~15日までとするところが多く、それに合わせてお盆休みで故郷に帰省する人も少なくありません。
さて「お盆」は灯籠を飾り、供物を供えるなど、ご先祖様に感謝する行事ですが、ご先祖様とともに大切にしたい“○○”とは一体何のこと?とお思いでしょう。それは「生身魂(いきみたま)」という聞きなれない季語なのですが、「生身魂」とは何なのか、お盆とどう関係があるのかを調べてみました。
「お盆の季語のひとつ『生身魂』の意味とは」
「生身魂」は、お盆に関連する行事の季語ですが、俳句に携わる人すら俳句に出会わなければ知ることがなかった季語といわれます。みなさんにおいても、初めて耳にする方も多いのではないでしょうか。しかし、長野県の諏訪地方では、今も行われているお盆の行事だといいます。
「生身魂」とは、生きている尊者に対して礼を行うこと。
尊者とは、一族の長老のことで、新たに迎える新盆もなく、一族が健康で盆を迎えられたことに対するあいさつを指すそうです。もともと新盆がないおめでたいお盆を「生盆(いきぼん)」といい、生身魂への儀礼を行ってきました。これは古くは室町時代からあった風習だったそうです。また、生きているものの魂を御霊(みたま)と呼ぶことから、その本人のことを「生身魂」とも呼ぶようになりました。 お盆は亡くなった方への感謝ばかりではなく、長く生きている方を敬い、感謝する行事でもあったのですね。
「お盆は、自分のルーツを知るよい機会」
ご存じの通り、日本は世界有数の長寿国です。厚生労働省の調査によると2017年における日本の平均寿命は、男性が81.09年、女性が87.26年。ちなみに、戦前の平均は50歳以下でしたが、「人生100年時代」といわれる昨今、これから10年間でもっと上がるだろうといわれています。
思い返せば、小学校や中学生時代に「おばあちゃん、おじいちゃんに話を聞く」という宿題がありましたよね? 実はいま大学生の教養課程でも同じような課題があるそうです。
おそらく30~40代の方でしたら、ご祖父母がご健在かもしれませんし、50~60代でしたら、ご父母またはご親族もご健在のことでしょう。そんな長寿に恵まれた時代だからこそ、あらためて自分の祖先や土地の歴史など、ルーツを聞いて、記録に残しておいてはいかがでしょうか?
お盆は親族が集まる大切な機会です。家族や親族を囲んで、昔話に興じ、長寿に感謝する。今回の「知って得する季語」から授かる知恵や歴史は、きっと後世に役立つに違いありません。 みなさま、どうぞよいお盆をお過ごしくださいね。