
月遅れ盆入りの13日、県内の霊園や寺院には家族連れなどが続々と訪れ、先祖の霊を迎えた。今年は新型コロナウイルスの感染拡大により、石材店のスタッフらが花や線香を手向ける「墓参り代行」の依頼が増えるなど、先祖をしのぶ形も変化しつつある。
約8300基の墓地がある宇都宮市岩本町の北山霊園。午前中から花や線香を手にした人が足を運んだ。墓石を磨いたり、伸びた草を抜いたりと暑い中、丹念に手入れをした。
母と娘家族と訪れた同市兵庫塚3丁目、主婦新井章子(あらいゆきこ)さん(62)は3年前に亡くなった父を思い、手を合わせた。「みんな元気で過ごせるように見守ってくださいと伝えました」と話した。
県外から訪れた人の中には、コロナ禍のため、墓参りだけをして実家には寄らずに帰るという人もいた。
依頼が増えているのが「お墓参り代行」。同市岩本町の谷田部石材販売では、お墓参り代行の依頼がこのお盆期間に約30件と昨年に比べ倍以上に増えた。帰省を控えた県外在住者からの依頼が目立つという。
13日は同社のスタッフが依頼者のお墓へ行って清掃し、花や線香を供えた。最後に写真を撮り、無料通信アプリLINE(ライン)などで依頼者へ報告する。
同社の谷田部修(やたべおさむ)社長(52)は「来られない方に代わり、気持ちを込めてお参りをさせていただいている。(お墓参り後の)写真を見て、お客さまに少しでも安心してもらえたら」と話した。
(8月14日付け下野新聞社会面 掲載記事)